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飲食店に必要な消防用設備とは?
飲食店に必要な消防用設備は、消火器だけとは限りません。建物の用途、延べ面積、階数、構造、無窓階の有無、店舗の位置、収容人員、火気設備の状況などにより、自動火災報知設備、非常警報設備、誘導灯、避難器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備等が必要になることがあります。物件契約や内装工事の前に、既存設備と追加工事の要否を所轄消防機関へ確認することが重要です。
本記事では、主な消防用設備、確認・設置の流れ、着工・設置に関する届出、開業後の点検上の注意点を解説します。
飲食店の消防用設備とは?
消防用設備等とは、火災の発見、通報、初期消火、避難、消防活動を支える設備の総称です。飲食店では、消火器、自動火災報知設備、非常警報設備、誘導灯、避難器具などが代表的ですが、建物の条件によって屋内消火栓設備やスプリンクラー設備等が必要になる場合もあります。
必要設備は店舗部分の面積だけで決まらず、建物全体の用途・延べ面積・階数、地下階や無窓階、収容人員、管理区分などを含めて判断されます。
飲食店で確認する主な消防用設備
設備ごとに、初期消火、火災の感知・通報、避難の支援など役割が異なります。既に設備が設置されている居抜き物件でも、用途変更、区画や客席配置の変更、厨房機器の増設等により、移設や追加が必要になることがあります。設備の要否と設置位置は、図面と建物全体の情報を基に所轄消防署と消防設備業者へ確認します。
消火器・屋内消火栓設備・スプリンクラー設備
消火器は、火災の初期段階で使用する最も身近な設備です。2019年10月1日以降、延べ面積150平方メートル未満の飲食店等でも、火を使用する設備または器具を設ける場合は、所定の防火上有効な措置が講じられている場合を除き、消火器の設置対象となります。
建物の規模や構造等によっては、屋内消火栓設備やスプリンクラー設備等も必要になるため、店舗部分だけで判断しません。
自動火災報知設備・非常警報設備
自動火災報知設備は、感知器で火災を早期に発見し、ベル等で建物内へ知らせる設備です。非常警報設備・器具は、火災を店内や建物内へ知らせ、迅速な避難を促します。
テナントビルでは受信機や警報区域が建物全体にまたがるため、間仕切りや天井工事で感知器の配置に影響がないか、既存設備が新しいレイアウトに適合するかを確認します。
誘導灯・誘導標識・避難器具
誘導灯や誘導標識は、避難口や避難方向を示します。避難器具は、階段等による避難が難しい場合に避難を補助する設備です。
客席、個室、間仕切り、装飾物の配置によって誘導灯が見えにくくならないか、避難器具の操作や降下を妨げる物がないか、避難口までの通路を確保できるかを開業前に確認します。
消防用設備の確認は、建物と店舗の条件整理、既存設備の確認、所轄消防署と専門事業者への相談、必要な工事・届出・検査という順で進めます。物件契約や内装工事の後に不足設備が判明すると、追加費用や開業時期に影響するため、できるだけ早い段階で確認します。
STEP1 建物と店舗の条件を整理する
建物用途、延べ面積、階数、構造、地下階・無窓階、収容人員、管理区分を確認します。
店舗については、階、床面積、客席数、厨房の火気設備、出入口と避難経路、内装計画を整理します。賃貸借契約前でも可能な範囲で図面と既存設備の資料を入手します。
STEP2 既存設備と不足設備を確認する
現地と図面で、消火器、自動火災報知設備、非常警報設備、誘導灯、避難器具、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備等の有無と位置を確認します。
居抜き物件では、設備が残っていても点検状況や新しいレイアウトへの適合性を確認し、管理会社へ点検報告書等の資料提供を依頼します。
STEP3 所轄消防署と消防設備業者へ相談する
店舗図面、厨房機器表、内装計画、既存設備の資料を用意し、所轄消防署へ設備の要否と届出・検査の流れを確認します。
設計・工事・整備・点検については消防設備士等の専門事業者へ相談し、内装工事と消防設備工事の工程を調整します。
STEP4 必要な工事と届出・検査を完了する
甲種消防設備士が消防法令で定める消防用設備等の工事を行う場合は、工事整備対象設備等着工届出書を着工日の10日前までに消防長または消防署長へ提出します。
設置後は、防火対象物の関係者が設置完了日から4日以内に消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書を提出し、原則として消防機関の検査を受けます。
すべての設備工事が同じ届出・検査の対象になるわけではありません。届出者、提出先、必要部数、添付書類、窓口・郵送・オンライン提出への対応は地域や工事内容によって異なるため、工事を始める前に所轄消防機関へ確認します。
飲食店の消防用設備と確認事項
飲食店で確認する主な消防用設備と、開業前に整理したい事項をまとめます。実際の設置義務や仕様は、建物の用途、規模、階、構造、収容人員、既存設備等によって異なるため、下表を準備の目安として所轄消防署と消防設備業者へ確認してください。
飲食店の消防用設備チェック
| 設備 | 主な役割 | 開業前の確認 |
|---|---|---|
| 消火器 | 初期消火を行う | 厨房の火気、防火措置、配置を確認 |
| 屋内消火栓・スプリンクラー | 放水・自動消火を行う | 建物の用途・規模・構造を確認 |
| 自動火災報知・非常警報 | 火災を感知し建物内へ知らせる | 区画、感知器、警報区域を確認 |
| 誘導灯・誘導標識 | 避難口・避難方向を示す | 客席からの見通しと配置を確認 |
| 避難器具 | 階段以外の避難を補助する | 店舗階、設置場所、操作空間を確認 |
上表は主な設備を整理したもので、必要設備を一律に判定するものではありません。複合用途の建物では、店舗部分だけでなく建物全体の用途・規模・既存設備が関係します。居抜き物件でも、前の店舗と用途、客席配置、厨房機器、管理区分等が異なれば追加工事や届出が必要になることがあるため、図面を用意して所轄消防署と消防設備業者へ確認してください。
消防用設備は設置して終わりではありません
消防用設備等は、原則として機器点検を6か月に1回、総合点検を1年に1回行い、その結果を所轄消防署へ報告する必要があります。点検結果の報告は、飲食店用途を含む特定防火対象物では1年に1回、非特定防火対象物では3年に1回です。設備の種類や建物の条件により、点検内容や有資格者による点検義務が異なるため、消防設備士等の専門事業者へ確認してください。
設備の移設、間仕切り変更、厨房機器の入替え等で適合状況が変わることもあるため、工事前に確認し、開業後も管理会社や専門事業者と連携して維持管理します。
弊所は行政書士業務の範囲で消防関係書類の作成・提出を支援しますが、消防用設備の設計・工事・整備・点検については、消防設備士等の専門事業者との連携が必要です。
市川市では、既存防火対象物の店舗等の開店・改修・用途変更に伴う着工届、設置届、防火対象物使用開始届は、店舗所在地に応じて東消防署、西消防署または南消防署が受付窓口となり、北消防署の管轄地域は東消防署が受け付けます。
市公式サイトでは、工事整備対象設備等着工届出書、消防用設備等(特殊消防用設備等)設置届出書、消防用設備等点検結果報告書の様式とオンライン提出先が案内されています。電子メールによる提出は受け付けていないため、提出方法と必要書類は事前に確認してください。
設備や工事内容によって必要書類や検査の有無が異なるため、図面と設備計画を用意し、着工前に店舗所在地を管轄する消防署または市川市消防局予防課建築担当へ確認してください。
飲食店の消防用設備についてよくあるご質問
小さな飲食店でも消火器は必要ですか?
150平方メートル未満でも必要になる場合があります
飲食店等で火を使用する設備または器具を設ける場合は、延べ面積150平方メートル未満でも原則として消火器が必要です。ただし、調理油過熱防止装置や自動消火装置など、総務省令で定める防火上有効な措置が講じられている場合は取扱いが異なります。IH調理器のみの場合を含め、使用する厨房機器と安全機能を整理して所轄消防署へ確認してください。
居抜き物件なら既存の消防用設備をそのまま使えますか?
そのまま使えるとは限りません
前の店舗から設備が残っていても、用途、客席数、区画、天井、避難経路、厨房機器、管理区分等が変われば、感知器や誘導灯の移設、消火器の追加などが必要になることがあります。点検期限や不具合の有無も確認し、物件契約・内装工事の前に図面と既存設備資料を用意して所轄消防署と消防設備業者へ相談してください。
消防用設備の工事や届出は行政書士だけで対応できますか?
設備工事は消防設備士等との連携が必要です
行政書士は、行政書士業務の範囲で消防関係の届出書類の作成・提出を支援できます。一方、消防用設備の設計、工事、整備、点検には技術上の確認や資格が関係するため、消防設備士等の専門事業者との連携が必要です。内装業者、管理会社、消防設備業者、所轄消防署の役割を整理して進めます。